このブログは薄毛に悩んでいる女性が適切な治療を受けるためのガイドになることを目的として書きました
このブログは薄毛に悩んで30年の外科医によるアフィリエイトブログです。医師と患者の立場からAGA治療の正しい情報を追求していきます。
増毛茂生くん最近、母が薄毛に悩んでいるんです。
どうしたら良いでしょうか?



大丈夫です。正しく知れば、適切な治療が可能です。



ただし、女性の薄毛は原因も診断も治療も、男性の薄毛より複雑なので最初の診断が重要です。



男性の薄毛との違いを知らないと「お金をかけても効果がない」、というだけではなく、女性の健康にかかわる問題が見過ごされる可能性があるので注意が必要です。



男性と同じように考えてはいけないのですね。



その通りです。



このブログを読んでいただくと、女性の薄毛について知っておきたい大切なポイントがわかります。
女性の薄毛の頻度
女性の薄毛は、男性のAGAのようにハゲにまで進むことはありません。
このため、街では目立たないかもしれませんが、10人に1人と意外に多いのです。
男性の薄毛の大半を占めるAGAが30%と言われていますので、ざくっと男性の3分の1の頻度になります。
「髪は女の命」という問題~薄毛によるQOLの低下
「髪は女の命」という言葉があります。
命というくらい健康な髪は女性にとって大切なものと思います。
女性が薄毛になると、男性よりもQOL(Quality of Life、生活の質)の低下が著しいと言われます。
高じると、次のようなメンタルの問題を生じることもあります。
- 不安症
- 社交不安症(対人恐怖症)
- うつ
薄毛が人生に及ぼす影響は、女性の方が深刻なので、正しい診断に基づいた適切な治療を受けていただきたいと思います。
女性の薄毛進行パターン


なぜかわかりませんが、同じAGAでも、女性の薄毛は、男性の薄毛パターンとは異なります。
女性の薄毛は、前頭部の髪の分け目から薄くなりはじめ、透けて見える頭皮が広がります。
その形が、クリスマスツリーに似ているため、‘Christmas tree’ パターンと呼ばれています。
これは髪の分け目から薄毛が始まるという意味ではありません。
女性の薄毛の本質は、前頭部の髪が全体的に薄くなる現象です。
「びまん性脱毛症」とも言われます。
もともと、髪を分けると、分け目から離れるほど髪の毛は多く重なり、逆に分け目に近いほど髪の毛の重なりは少ないですね。
このため、前頭部の薄毛は分け目から目立ち始めるということです。
分け目を作ると、そこから薄くなるということではありませんので、ご安心ください。
男性のようなハゲになりにくい


女性の薄毛は、進行がゆるやかという特徴もあり、男性のようなハゲにまで進むことは多くありません。
ルードヴィヒ・スケールと呼ばれる進行度の分類で見てみましょう。
街で見かけるのはI-4までの方がほとんどと思います。
ただ、II以上の方は、ウィッグでカバーされている女性が多いため、目にすることはほとんどありません。
中には、生え際がM字に後退するパターンをとることもあります。
Hamiltonパターンといいます。
やはり、このパターンは目立ちますので、ウィッグが必要になります。
なぜ女性なのに「男性型脱毛症」なのか?
女性の身体でも男性ホルモンが男性の5-10%程度と少ないながらも作られています。
この男性ホルモンが女性の薄毛にも関与することが疑われています。
このため、女性の「男性型脱毛症」、つまり「女性男性型脱毛症(Female Androgenetic Alopecia; FAGA)」と呼ばれています。
ところが、男性ホルモンが関与しないFAGAもあります。
男性のAGAは高い確率で遺伝することがわかっていますが、FAGAの遺伝は男性ほど高くなく、解明が進んでいません。
ずいぶん、AGAと違う気がしてきました。
それなのに、FAGAと呼ぶのはなぜか?
その答えは、髪の毛の変化が男性のAGAと同じだからです。
その特徴とは、
- 進行性に毛包が小さくなる(ミニチュア化)
- もともとの硬毛が軟毛(短く細い毛)に変わっていく
- 成長期の毛が減り、休止期の毛が増える
- ヘアサイクルが短くなる
などになります。
要するに、AGAもFAGAも、どんどん細く短い毛(=軟毛)が増えてしまうという共通点があるということです。
すごく特徴的な変化ですね。
この髪の毛の変化を共有するため、先に確立していたAndrogenetic Alopecia(男性型脱毛症)の女性版、つまり、Female Androgenetic Alopecia(女性男性型脱毛症)と命名されたのです。
女性の薄毛の原因
薄毛の原因を解明することが、治療への第1歩です。
原因がわかるから、治療ができるわけですから。
しかし、FAGAの原因は男性ほどはっきりしていません。
ネットでは、よくこう書かれています。
女性も男性に比べればごく少量だが男性ホルモンを作っていて、閉経や過度なダイエット、ストレスなどに伴って女性ホルモンのエストロゲンが減少すると、男性ホルモンの影響が強まり、FAGAが発症します。
本当にそんなに簡単なんでしょうか?
男性のAGAに当てはめているようにも思えます。
女性ホルモンは、閉経とともに誰でも減少します。
でもFAGAは女性の10人に1人と多くはありません。
実は、FAGAは、原因が男性のAGAほど単純ではないと考えられています。
その証拠に、男性のAGAに効果のあるフィナステリド1mgが効きにくいことがわかっています。
では、今考えられているFAGAの原因には何があるでしょうか?
- 男性ホルモン過多
- エストロゲン(女性ホルモン)の減少
- 慢性炎症


男性ホルモン過多
FAGAは、毛包がミニチュア化し毛が細く短くなっていくという男性のAGAに共通する特徴を持っていました。
このため原因として、男性AGAと同じように、男性ホルモンに原因が求められました。
しかし、結論から言うと、FAGAの女性の一部は男性ホルモンが関与していますが、男性ホルモンが関与しないFAGAも多いと考えられるようになっています。
昔の調査ですが、FAGAの女性の約3分の1が、男性ホルモン値が異常に高かったと報告されています。
ということは、3分の2の人は、特に男性ホルモン値が高いわけではないことになります。
そこで、この男性ホルモン値が正常なFAGAの女性は、男性ホルモン受容体の感度が高いために、男性ホルモンの作用が高まっていることが疑われました。
しかし、生まれながら男性ホルモン受容体が欠けている女性でもFAGAを発症することが報告されています。
つまり、男性ホルモンとは、まったく関係ないメカニズムがFAGAの発症の原因になっているFAGAも存在すると考えられるのです。
まとめると、
男性ホルモン値が異常に高い女性は、AGAと同じメカニズムでFAGAを発症する可能性がある。
しかし、男性ホルモンでは説明できないFAGAもある。
エストロゲン(女性ホルモン)の減少
エストロゲンは、女性らしさを生み出す奇跡のホルモンと言えます。
肌を美しく保つ、髪の成長を促すなど女性の美を生み出しているのですね。
また、血管や骨などを健康な状態に保ち、代謝を促し、自律神経を整え、頭脳の働きを良くするなど女性の健康を維持する働きもあります。
そして、月経や妊娠に重要な働きをします。
エストロゲンの働き
- 女性の美を生み出す
- 女性の健康を支える
- 月経と妊娠を司る
このエストロゲンが急激に減少する時期があります。
平均50歳で訪れる閉経の後です。
ちょうど、その時期からFAGAが増えるため、エストロゲンの減少がFAGAの原因と考えられています。
この説を支持する証拠はたくさんあります。
まとめます。
- FAGAは閉経後に増える
- 乳がん治療のためにエストロゲンの作用や産生を抑える治療を受けている女性にFAGAが発症しやすい
- エストロゲンの作用を抑えるタモキシフェン(Tamoxifen)や男性ホルモンがエストロゲンに変換するのを抑えるアロマターゼ阻害剤( Aromatase Inhibitors)
- 妊娠するとエストロゲンが増加してヘアサイクルの成長期が長くなる
- 出産後、エストロゲンが急減して一時的に髪が薄くなる(「産後ハゲ」)
- AGAではげているトランスジェンダーの人がエストロゲン投与を受けると髪がふさふさに戻った事例がある
こうしてみてみると、エストロゲンの増減に伴い髪の状態が変化するのがわかってきますね。
スイッチのオン・オフのようです。
ただ、エストロゲンの減少そのものがFAGAを引き起こすのか、エストロゲンの減少によって男性ホルモンの影響が増すためにFAGAが起きるのかはわかっていません。
あるいは、両方とも関与しているのかもしれません。
ネットでよく見かける説明は、「エストロゲンの減少によって男性ホルモンの影響が増す」の方です。
高用量のフィナステリド内服が閉経後の男性ホルモン量が正常な女性のFAGAの85%に効果があるという報告※がありますので、多くのFAGAには男性と同じようにDHTが関与しているようです。
ただし、なぜ男性のAGAで効果があるフィナステリド1mgがFAGAでは効果がないのか疑問が残ります。
女性の男性ホルモンは男性の5~10%しかありませんから。
また、生まれながら男性ホルモン受容体がない女性もFAGAを発症することから、エストロゲンの減少そのものにもFAGAを引き起こす可能性が考えられます。
さらに疑問なのは、閉経後の女性は誰でもエストロゲンが減少するのにFAGAになる人は約10%と一部の女性である点も、男性ホルモンあるいはエストロゲン減少だけでは説明がつかない謎です。
まだまだ隠れているメカニズムがありそうです。
少なくとも言えることは、エストロゲンの減少が女性の薄毛Aの原因になりうるということです。
慢性炎症
これは、男女共通に考えられている原因です。
慢性炎症とは何か?
「炎症」とは、体の組織に異常が生じた際に起こる防御的反応です。「慢性炎症」は炎症の中でも緩やかに持続するものを指し、喫煙などの生活習慣、老化した細胞や内臓脂肪の増加、性ホルモン濃度の変化などが原因で引き起こされると考えられています。ー食習慣と筋力低下~食事と慢性炎症の観点から~
慢性炎症とは、本来一過性で治まるはずの炎症反応が低レベルではあるものの、長期間持続して慢性化した状態を指します。このダラダラとくすぶるような炎症状態が持続すると、生体組織の機能や構造に異常が生じてさまざまな疾患の原因になることが知られています。とくに、非感染性疾患と総称される生活習慣病やがんなどを引き起こす要因として、慢性炎症が注目されています。ー健康用語の基礎知識
ネット上のわかりやすい説明を2つ引用しました。
では、AGAやFAGAでおこる慢性炎症とはどういうことでしょうか?
AGAやFAGAに共通するのは、毛包のミニチュア化でした。
このミニチュア化した毛包にリンパ球の浸潤が認められるというのです。
また、髪の成長を抑制する炎症因子であるプロスタグランジンD2が男性のはげた頭皮で増えていることがわかっています。
頭皮に、慢性炎症を起こす原因って何が考えられるでしょうか?
ざっと
- 紫外線
- 喫煙
- 偏った食事
- 過度の飲酒
- 睡眠不足
個人的には、慢性炎症はAGAやFAGAの原因というより、AGAやFAGAによる薄毛の進行を速めてしまう悪化因子ではないかと思うのですが。
FAGAの診断は男性AGAより難しいわけは?
まず、お伝えしたいのは、女性の薄毛治療はオンラインではなく、対面診療を受けていただきたいということです。
それは、女性の薄毛の診断は、男性の薄毛診断より難しいからです。
なぜか?
まず、この「なぜか?」を理解いただくと、自ずと女性の薄毛の正しい治療がわかってきます。
男性の薄毛は、90%以上がAGAで、診断は比較的容易です。
メカニズムも
血液中を流れるテストステロンが、毛根にある毛包で5αリダクターゼという酵素の働きで5倍働きが強い強化型男性ホルモンDHTに変換され、このDHTが毛包の正常な発毛を狂わせてしまう
とシンプルで、治療も
- 5αリダクターゼを抑えるフィナステリドまたはデュタステリド
- 発毛力を高めるミノキシジル
この2つを組み合わせる
とシンプルで、まずどの男性もここで挙げた治療薬を使います。
このため、オンライン診療が可能でシェアを伸ばしています。
これに対してFAGAは、薄毛の原因をDHTのせいにできないことが多いのです。
言い換えると、男性ホルモン非依存性脱毛がかなり存在するということです。
昔から皮膚科医泣かせの病気なのです。
女性は、ホルモンバランスを崩す病気や薬が多いことことや、甲状腺ホルモン異常をきたしやすかったり、鉄欠乏症になりやすかったり、過度のダイエットなど、薄毛を引き起こしてしまう原因が多いのですね。
また、FAGAと思っていたら、他の脱毛症を合併していた、なんてことがかなりあるのです。
まとめます。
- 女性の薄毛の原因は多様
- 他の脱毛症との区別が難しい
女性の薄毛の原因は多様
女性の薄毛の原因は、まさに女性らしいデリケートな問題がいろいろとかかわっています。
- 男性ホルモンが増える女性疾患が多い(多嚢胞性卵巣症候群や卵巣癌など)
- 男性ホルモンが増える薬がある
- 薄毛になる甲状腺機能低下症が女性に多い
- 薄毛の原因となる鉄欠乏症や過度のダイエット
- 牽引性脱毛症(髪の毛が引っ張られる髪型を長期間続けることが原因の薄毛)
- 抜毛症(自分で髪の毛を抜いてしまうことで生じる薄毛)
詳しくは別のブログに譲りますが、女性の薄毛の原因は、多種多様で見ただけではわからないことがわかりますね。
女性の薄毛治療は、まず対面でしっかり検査と診断を行ったうえで始めることが何より大切です。
他の脱毛症との区別が難しい
いろいろな原因の脱毛症があることがわかりましたね。
しかし、やはりFAGAがもっとも多いことは間違いありません。
ここで男性以上に注意しなければならないのは、他の脱毛症との区別がつきにくいということです。
さらには、FAGAに他の脱毛症が合併していることがありうるけど、気が付きにくいという問題が起こります。
なぜでしょうか?
男性のAGAは、ハミルトン・ノーウッド分類に見られるように、生え際が後退し、頭頂部が薄くなるなど、特徴的なパターンを示すため、他の脱毛症と区別しやすいのです。
一方、FAGAは、全体的に薄くなる、つまり「びまん性」に薄くなることが多かったことを思い出してください。
実は、他の脱毛症もびまん性に薄くなる脱毛症が多いのです。
薄毛のパターンが似ているから区別しにくいのですね。
しかも、女性は男性よりも髪を長く伸ばしていることが多いことが、さらに区別を難しくします。
対面でしっかり検査と診察を受けることが重要です。
見た目だけでFAGAと区別しにくい脱毛症を挙げてみます。
- 休止期脱毛症
- 甲状腺機能低下症
- 鉄欠乏症
- 過度のダイエット
- 抜毛症
たくさんありますね。
他にも、びまん性のパターンは示さないが、FAGAと合併することがあり、気が付きにくい場合もある脱毛症を挙げます。
- 円形脱毛症
- 瘢痕性脱毛症
各脱毛症については、別のブログを参照してください。
Female Pattern Hair Loss (FPHL)
急に難しい医学用語が出てきましたね。
ここまでみてきたように、FAGAと考えられる女性の薄毛の中には、男性ホルモンが関係しているようには見えないけれども、FAGAと同様にびまん性の薄毛になる脱毛症がいくつかありました。
そこで、2001年に、このような女性のFAGAと同じようにびまん性の薄毛を示す脱毛症の総称として、Female Pattern Hair Loss (FPHL)という医学用語が提唱され、今日に至ります。
このような言葉が必要なほど、女性の薄毛は原因が多様で、診断が重要であることがわかります。
実際には、FAGAとFPHLは大きくオーバーラップしています。
女性の薄毛治療は対面で始めたい
ここまで読んでいただくと、女性の薄毛は治療を始める前に、ちゃんとした検査と診察を受ける必要があることを感じていただけたのではないでしょうか?
オンライン診療では限界があると思います。
もちろん、きちんと診断がすでにできている人は、オンライン診療もありと思います。
もうひとつ忘れてはいけないのは、女性の薄毛は、卵巣の病気や甲状腺機能低下症など女性だけの病気、あるいは女性に多い病気が原因で起きることがあることです。
薄毛に気を取られて、原因となる病気が見過ごされてしまったり、発見が遅れてしまったりするとたいへんですね。
女性の薄毛は、ぜひ対面診療で始めていただきたいと思います。
女性の薄毛を診断するために必要な検査
では、女性の薄毛の診断を正しく行うための検査には何があるかをみてみましょう。
項目が多いので、すべてを把握していただく必要はありません。
場合によっては婦人科での検査が必要な場合もあります。
クリニックを受診して検査と診察をうける必要性を理解いただいたら十分と思います。
- 十分な問診(言いにくいことも隠さず伝える)
- 月経について
- 月経が規則正しいか?
- 月経が止まっていないか?
- 閉経しているか?
- 男性化の兆候がないか?
- 毛深くなっていないか?
- 声が低くなっていないか?
- クリトリスの肥大がないか?
- ニキビが増えていないか?
- 男性ホルモンを増加させる薬物を使用していないか?
- アナボリックステロイド
- 避妊薬(低用量ピル)
- 抗てんかん薬
- 過度のダイエットをしていないか?
- 急激な体重減少がないか?
- 月経について
- 身体検査
- アンドロゲン過多症の兆候を示す所見のチェックと評価
- にきび
- 多毛症(顔、お腹周り、背中、胸)
- 脱毛歴の聴取
- 多嚢胞性卵巣症候群を疑わせる所見
- 不妊
- 不規則な月経または無月経
- 多毛症
- 脂漏症
- 肥満
- 重症なにきび
- アンドロゲン過多症の兆候を示す所見のチェックと評価
- 頭皮検査
- 毛髪牽引試験(抜毛テスト)
- 休止期毛髪の確認
- マイクロスコピー検査
- 軟毛化検出
- 毛髪径20%以上のバラツキ
- 後頭部毛髪径と前頭部毛髪径の比較
- 無毛毛穴
- 限局性無毛部
- 毛周囲色素沈着
- 軟毛化検出
- 生検(バイオプシー)
- 他の検査で確定診断ができないときに施行
- 円形脱毛症や瘢痕性脱毛症を疑ったときに施行
- 採血検査
- 血中遊離テストステロン測定(卵胞期、避妊薬休)
- 血中プロラクチン測定
- 高アンドロゲン血症のスクリーニング
- 血中デヒドロエピアンドロステロンサルフェート&17α-ヒドロキシプロゲステロン
- 男性ホルモン産生腫瘍のスクリーニング
- 先天性副腎過形成症のスクリーニング
- 血中鉄
- フェリチン
- ビタミンD
- 亜鉛
- 甲状腺ホルモン
- 超音波検査
- 卵巣
- 副腎
- 毛髪牽引試験(抜毛テスト)
ここのようなフルの検査を行って、薄毛以外の問題が疑われた時は、専門医の診察を受けることが大切です。
- 卵巣疾患➡婦人科医
- 副腎疾患➡内分泌科医
- 円形脱毛症や瘢痕性脱毛症➡皮膚科医
- 抜毛症➡心療内科医または精神科医
検査の中身は他のブログでも取り上げますので参考にしてください。
女性の薄毛の治療は?
やっと治療に入れます。
まず知っていただきたいのは、女性の薄毛は、男性の薄毛にように「AGA薬を使う」という型通りの考え方では十分ではないということです。
なぜなら女性の薄毛には、さまざまな原因があり、治療しなくても自然に治る薄毛もあれば、治療が必要でも原因ごとに治療の考え方が異なるからです。
なので、診断が正しくないのに、やみくもに治療をしても効果は期待できません。
それどころか、間違った治療の考え方は、効果がないのに副作用だけがでたり、重大な病気が見過ごされたりする可能性を生み出します。
女性の薄毛治療は、一般論ではなく、自分にとって適切な治療は何か?を知る必要があるのです。
そのために正しい診断が不可欠です。
そのうえで、安心して治療を開始していただきたいと思います。
では、FAGAの治療はどう考えるべきでしょうか?
私は、まず、女性のびまん性の薄毛の総称であるFPHL (Female pattern hair loss) の治療として治療計画を立てるというスタンスが必要と思います。
FPHLは、原因が明らかなさまざまな脱毛症を含んでおり、FAGAは、その中でも特定の原因がなく起こる薄毛と考えることができると思います。
原因がはっきりしている場合は、原因を取り除けばよいですね。
原因がはっきりしないFAGAは、男性のAGAのように男性ホルモンの影響を想定して治療が行われているのです。
そして、女性の薄毛は、FAGAとFAGA以外のFPHLが合併している場合があり、その場合は、両方の治療が必要になります。
ここでは、まず、FAGA以外の原因がはっきりしているFPHLの治療をまとめ、最後に、FAGAの治療をまとめることにします。
- FAGA以外のFPHLの治療
- FAGAの治療
FAGA以外のFPHLの治療
各脱毛症の治療をひとことで書いてみます。
目的は、FPHLの治療は原因により全然異なることを理解することです。
そして、その原因を解決することこそが治療の目標になります。
- 休止期脱毛症
- 通常は治療不要。3~6か月脱毛が続き、その後自然に回復する。
- 分娩後脱毛症
- 通常は治療は不要。エストロゲンの自然回復とともに回復する。
- 鉄欠乏症
- 鉄剤内服など
- 過度のダイエット
- ダイエットの休止、ダイエット法の改善
- 抜毛症
- 心療内科のカウンセリングや薬物治療など
- 円形脱毛症
- ステロイド局所注射、局所免疫療法、ステロイド外用療法など
- 瘢痕性脱毛症
- ステロイド治療など
- 甲状腺機能低下症
- 甲状腺ホルモンである合成T4製剤服用など
- 牽引性脱毛症
- 初期であれば牽引性のある髪型をやめる。不可逆なら、植毛。
FAGAの治療
原因のはっきりしないFAGAが、女性の薄毛の原因の多くを占めます。
FAGAの治療を考えるとき、男性のAGAの治療が参考になります。
その理由はというと
- FAGAの治療は、AGAと同じくAGAの原因であるDHTを減らすことと発毛力促進との2本立てであるべき
- 男性のAGAの治療には、エビデンス(根拠)が高い治療がそろってきた
しかし、FAGAの治療はAGAの治療との違いもかなりあるため、比較するとわかりやすいでしょう。
では、日本皮膚科学会のガイドライン(2017年)の推奨する治療を推奨度の高い順番から並べてみましょう。
まず、男性AGAです。
男性AGA
❶ フィナステリドまたはデュタステリドの内服(A)
❶ 5%ミノキシジルの外用(A)
❷ 自毛植毛(B)
❷ 赤い光治療(レーザーまたはLED)(B)
❷ アデノシン外用(B)
A:強く勧める;B:勧める
こう見ると、男性AGAには強く推奨されている治療(A評価の治療)が2つもあり、この2つを組み合わせるのがスタンダードな治療になっています。
そして、Bの自毛植毛や赤い光治療やアデノゲンを自由に追加治療として使えるという恵まれた選択肢があります。


では、女性はどうでしょうか?
FAGA
❶ 1%ミノキシジルの外用(A)
❷ 赤い光治療(レーザーまたはLED)(B)
❸ 自毛植毛(C1)
❸ アデノシン外用(C1)、カルポニウム塩化物外用(C1)、t-フラバノン外用(C1)、サイトぺリンおよびペンタデカン外用(C1)、ケトコナゾール(C1)
❸ かつら(C1)
A:強く勧める;B:勧める;C1:行っても良い
FAGAでは、強く推奨されている治療(A評価の治療)がミノキシジル外用だけで、他に推奨されている治療(B評価の治療)が光治療だけであることがわかります。
これだとFAGAの治療の選択肢が狭いと感じますね。
狭いだけではなく、「DHTを減らす」薬がほとんどないのですね。
特に、男性AGAの基本薬で「DHTを減らす」フィナステリドまたはデュタステリドの内服が「行うべきではない」(D評価)と評価されています。
これは痛手です。
なぜ、フィナステリドまたはデュタステリドが「行うべきではない」と評価されたかというと、
- フィナステリド1mgをFAGAの女性に1年間使用したランダム化比較試験で効果が認められなかった
- 妊婦に投与するとDHT の低下により男子胎児の生殖器官等の正常発育に影響を及ぼす恐れがあり,妊婦または妊娠している可能性のある女性,授乳中の女性への投与は禁忌である
という理由です。
そうするとFAGAの女性が安心して始められる治療は、ミノキシジル外用と赤い光治療の2つということになります。
本当にそうでしょうか?
実は、そうではありません。
実際には、国内のFAGA治療ではスピロノラクトンというお薬を処方するクリニックが増えていますが、ガイドラインでは触れられていません。
なぜでしょうか?
ひとつは、ガイドラインは、学会として当然のことながら、エビデンス重視ですので、効果と安全性にしっかりした根拠がない治療は、取り上げないか、取り上げられても低い評価になります。
しかし、医学は日進月歩。
2017年当時から2023年の6年間で新たなエビデンスは積み上げられてきました。
これによりFAGAに使われているお薬は増えています。
また、海外では、日本以上に多くの薬剤が使用され、効果と安全性の根拠がでてきています。
今、世界でFAGAの治療が、どのように考えられ、どのような治療が行われているか気になりますよね。
この最新かつワールドワイドなFAGAの治療を知りたい方は、次のブログでまとめましたので、参考にしていただければと思います。


FAGAがAGAと違う点と似る点をまとめると
ここまで読んでいただくと、FAGAが男性のFAGAとは大きく異なることがわかると思います。
女性の身体は、妊娠・出産という種の生存にとってかけがえのない役割を担っていて、それが主に女性ホルモンにより制御されています。
それとともに、女性の健康にも男性ホルモンが必要であることや、エストロゲンはテストステロンから作られるなど、テストステロンも女性の身体で作られています。
- 女性の身体は月経周期とともに、女性ホルモンの量が変化を繰り返す
- 閉経とともに、エストロゲンの量が激減する
- 女性の健康にも男性ホルモンのテストステロンが必要(男性の5~10%産生量)
- エストロゲンは卵巣や副腎で作られたテストステロンから作られる
哺乳類の奇跡ともいえる女性ホルモンですが、この大事なホルモンのバランスは絶妙にコントロールされています。
さまざまな原因により、そのバランスが変化すると薄毛に限らず女性の身体に影響することは想像に難くありません。
FAGAが男性のAGAと違う点に留意して治療を進めていただきたいと思います。
| FAGAが男性のAGAと異なる点 | FAGAが男性のAGAと似る点 |
|---|---|
| 女性にはびまん性の薄毛になる原因が多い(Female Pattern Hair Loss; FPHL) FAGAは他のFPHLと合併していることがある FAGAは男性ホルモンが関与している場合と関与していない場合がある FAGAにフィナステリド1mgは効果がない | ミノキシジルが効く 赤い光治療が効く |
女性の薄毛を治すためには、まず的確な診断が必要ですね。
