増毛茂生くん薄毛の家系なので高級なシャンプーを使って頭皮を大切にしないといけないという強迫観念があります。シャンプーを頑張ればAGAがどの程度防げるのか教えてください。



よくわかります。実は、私も30代に薄毛が気になりだしたころ、シャンプーにこだわりました。美容室で頭皮に良いと勧められると、多少値が張っても購入しました。
しかし、AGAの薬物治療を行わずに、シャンプーにこだわっても実は薄毛は進行します。
では、シャンプーの意義は何でしょうか?正しいシャンプーのやり方は何でしょうか?薄毛対策におけるシャンプーの本当の意味をとらえ直します。
残念ながらシャンプーだけではAGAを止められない





私が30代の頃AGAの概念は広くは知られておらず、頭皮の毛穴に皮脂が詰まることが薄毛の原因になっているので頭皮ケアが重要と説く記事を目にしました。



今でも見かけることがあります。



今ではAGAがかなり知られるようになり、以前のようなシャンプーで薄毛が治ると喧伝する広告は鳴りを潜めています。



AGAが知られていない頃は、薄毛の男性はシャンプーに励んでいたのですか?



良いシャンプーを使うこと、シャンプーブラシなどを用いて頭皮の汚れをしっかり取ることや、ヘッドマッサージで頭皮の血流を改善することが推奨されていました。



私もシャンプーや頭皮マッサージをいろいろ試しました。



それでもだめならあきらめる男性が多かった思います。



シャンプーや頭皮マッサージも、ある程度効果はあるのでしょうか?



残念ながら私の場合は、AGAの進行は止まりませんでした。



AGAはAndrogenetic Alopeciaの略で、日本語では「男性型脱毛症」ですが、逐語訳すると、「男性ホルモンによる脱毛症」となります。
文字通り、男性ホルモンが引き起こす脱毛症なのです。



つまり、男性ホルモンという内因性の病気であり、シャンプーや頭皮マッサージという外因性の環境改善だけでは止めることができないのです。
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AGAは男性ホルモン作用による内因性の病気であるため、シャンプーや頭皮マッサージなど外因性の環境改善だけでは進行を止めることはできません。
AGAが始まるとシャンプーにこだわってしまう理由



今でもAGAの男性はシャンプーにこだわっている方が多いと思います。



よくわかります。



自分の経験ですが、薄毛が気になりだしたころ、長時間の病院勤務が終わりほっと自宅でテレビを見ているとき、ふと頭頂部に手をやると頭皮がべたついていました。



当時はストレスや脂っこい食事のせいかと思いましたが、AGAの原因となる活性型男性ホルモンDHTの作用で皮脂分泌が増えていたのです。



僕も頭皮のべたつきを感じています。



皮脂まみれの頭皮は、いかにも毛髪に悪そうに感じます。



シャンプーで皮脂を洗い流すと、すっきりして毛髪が生えてくる気がします。AGAになると、このような体験感覚からシャンプーに解決策を求めてしまいやすいのですね。



なるほど。



ここで、AGAの男性の頭皮が脂っぽくなる理由を考えてみましょう。共通の犯人はDHTです。
【復習】ジヒドロテストステロン(DHT)とAGAと皮脂
身体の毛包や皮脂腺には「5αリダクターゼ」という酵素が存在します。
この酵素は血液中を流れる男性ホルモン「テストステロン」を5倍強力な「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換して、男性ホルモン作用を強めています。
DHTの本来の働きとしては、胎児期や第一次性徴期には、男性の外性器(陰茎・陰嚢)の発達、第二次性徴期には声変わりやひげなど体毛形成を担い、成長している間は男性らしい身体づくりを促進します。どれも男性にとっては大切な働きですね。
ところが、成人すると以下のように男性にとって嬉しくない働きをします。
AGA
皮脂量の増加
前立腺肥大
5αリダクターゼは、Ⅰ型とⅡ型があります。頭頂部と前頭部の毛包にはⅡ型が多く存在して、産生されるDHTは脱毛に働きAGAの原因になります。
一方、Ⅰ型は頭皮を含む全身の皮脂腺に存在しているためDHTが産生されて全身の皮脂分泌が促進されます。


このようにDHTは、頭皮においては、脱毛作用と皮脂分泌作用を有しています。そして、AGAの男性は頭皮の皮脂分泌が多いことが示されています。
Chanprapaph K, et al. Clin Interv Aging. 2021 May 10;16:781-787.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34007163/




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AGAの男性は皮脂分泌が過剰になっています。
過剰な皮脂は頭皮トラブルの元





AGAで頭皮が脂っぽくなると、まずいのでしょうか?



新鮮で適量の皮脂は頭皮のバリア機能と乾燥防止の役割を担っています。



しかし、皮脂が過剰になったり古くなると、頭皮の慢性炎症が起きて、かゆくなったり赤みが出たりと、頭皮トラブルの原因になります。



脂が多すぎると、なぜトラブルになるのですか?



頭皮の常在菌*バランスが崩れやすくなるからです。



頭皮にはマラセチア菌が常在菌として住んでいて、皮脂を食べて繁殖します。常在菌バランスが保たれていると有害な菌の侵入を抑えて頭皮の健康を保つなど有益な働きをしています。



皮脂が多すぎると、そのマラセチア菌が増えてしまうということですか?



その通り。皮脂が増えるとマラセチア菌が増えます。マラセチア菌は、中性脂肪を分解して遊離脂肪酸に変えてしまい、この遊離脂肪酸が頭皮の慢性炎症を引き起こします。



実際に、AGAの男性の頭皮にはマラセチア菌が多いことが示されています。
Suzuki K, et al. Microorganisms 2021 Oct 11;9(10):2132.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34683453/
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皮脂は通常、皮膚を外敵や乾燥から守る働きをしていますが、過剰に分泌されると常在菌のマラセチア菌が異常繁殖して頭皮に慢性炎症を起こしてしまいます。
シャンプーの真の意味





ということは、AGAの男性は、よけいにシャンプーが大事ということですか?



はい。AGAの男性は頭皮の皮脂やマラセチア菌が増えていますからです。



AGAの男性は毎日のシャンプーにより、過剰な皮脂を除去して新鮮で適量な皮脂と常在菌バランスを保つことが大切です。



じゃあ、シャンプーの回数も増やした方がいいのですか?



いえ、シャンプーの回数を日に2回以上に増やしたりすると、必要な皮脂まで除去されてしまいます。



また、皮脂を取りすぎると、急いで補おうと皮脂分泌が逆に高まってしまいます。



常在菌バランスも崩れやすくなります。



今やっている通りでいいのですね。シャンプーも選んだ方がいいですよね?



洗浄力が強く過ぎると必要な皮脂も無くなってしまいますので、強すぎないものを選びましょう。



シャンプーのタイプについては、ここでは語りつくせませんので、またの機会にしましょう。使い心地の良い自分に合ったものに出会うことが大切です。
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AGAの観点で考えると、シャンプーは頭皮の皮質と常在菌のバランスを保ち頭皮環境を整えることが目的になります。皮脂を取りすぎないように、日に1回の回数とシャンプーの適度な洗浄力を念頭に置きましょう。
この記事のまとめ


AGAは身体の中に原因があるので、シャンプーだけではAGAを止めることはできないことがわかりました。
でも、AGAの男性の頭皮は皮脂が過剰に分泌され、マラセチア菌が繁殖して、常在菌バランスが崩れて頭皮環境が悪くなりやすいので、適切にシャンプーをすることが必要とわかりました。
強すぎないシャンプーで日に1回だけシャンプーして、皮脂コントロールできれば、AGA治療のサポートになると思います。

