増毛茂生くん父方も母方も若ハゲの男性が多い家系なので、自分もそうなるのでないかと神経質になっています。今後どうすれば良いでしょうか?



残念ながら増毛くんは若いうちにAGAになる可能性が高そうですね。
AGAは高い確率で遺伝することがわかっています。
逆に自分のAGAのリスクが予測できると前向きに考えて、AGAの始まりを早期発見し早期治療できるように備えましょう。
AGAの遺伝についてお伝えします。
人の個性を織りなす「遺伝子多型」





増毛くん、「遺伝子多型」ってご存じですか?



難しい言葉ですね。



難しく感じる専門用語ですが、要は人の個性を決めている個人間の遺伝子の違いです。



まだ、難しいです。



では、わかりやすい例を挙げましょう。「お酒が強い/弱い」とか「耳あかが乾いている/湿っている」などです。命にはかかわらないことですが、どれも人の個性ですね。



こうした無数の遺伝子の違いが、トータルで個性を生み出しているのです。



そして、子が親に似るように遺伝子多型は遺伝します。



なんとなくイメージがわいてきました。



そして、AGAも遺伝子多型です。容姿に強い影響を与えるため、人生に影響する不利な個性といえます。
AGAは複数の遺伝子多型がつくる体質



AGA体質は高い確率で遺伝することがわかっています。80%以上の確率で遺伝するとされています。



うわっ、じゃあ僕は間違いなくAGAになる運命ですね。



父方からの遺伝と母方からの遺伝があると考えられています。しかし、まだまだわかっていないことが多いのが現状です。



何の遺伝子ですか?



ネット上には、次の2つの遺伝子の多型が関係すると書いてある記事が多いです。実際、候補として研究されてきました。なぜなら、AGAで薄毛になった頭皮に、この2つのタンパク濃度が増えていることがわかっているからです。
【AGA遺伝子の候補】
- 男性ホルモンレセプター(x染色体上)
- 5αリダクターゼ(常染色体上)



どちらも男性ホルモンに関係するAGAの重要な因子ですね。



その通りです。AGAは頭皮毛包の男性ホルモンレセプターが強く活性化されることで起きる脱毛症です。その活性化の原因が、頭皮毛包に存在する5αリダクターゼでした。



5αリダクターゼは、血液中のテストステロンを活性型のDHTに変えるのでしたね。



はい、DHTはテストステロンより5倍強い作用を持つため、5αリダクターゼが多い男性はAGAになりやすいと考えられています。





どちらも遺伝するのですか?



多くの研究の結果、男性ホルモンレセプター数の遺伝子多型がAGA発症に関係するのは間違いなさそうです。



5αリダクターゼはどうですか?



不思議なことに、5αリダクターゼの遺伝子はAGAとリンクしないことが示されています。
Justine A, et al. Published online by Cambridge University Press: 13 February 2004
https://www.cambridge.org/core/services/aop-cambridge-core/content/view/618731E38A7C624B1B63C721297E7A34



簡単じゃないのですね。



はい。代わりの常染色体上の遺伝子候補としては、20番染色体の 20p11の部位にリンクする遺伝子があることがわかっていますが、その因子が何かまでは同定できていません。
J Brent Richards, et al. Nat Genet. 2008 Nov;40(11):1282-4.
https://www.nature.com/articles/ng.255



さらに興味深いことに、オーストラリアで行われたVictorian Family Heart Studyで、薄毛の男性の81.5%が、父も薄毛であったという結果がでました。
これは、常染色体の優性遺伝では説明できない高率な遺伝なので、Y染色体の遺伝子が関係していることも疑われています。
J A Ellis, et al. J Invest Dermatol. 1998 Jun;110(6):849-53.
https://www.jidonline.org/article/S0022-202X(15)40097-1/fulltext
【現状わかっているAGA遺伝子】
- 男性ホルモンレセプター(x連鎖性優性遺伝)
- 20番染色体の 20p11に存在する因子(優性遺伝)



これからもっとわかってくるといいですね。



そうですね。複数の遺伝子が関係しているようなので、このことがAGAを発症する年齢や程度に個人差が大きい理由かもしれませんね。


男性ホルモンレセプター遺伝子は母方から受け継ぐ



男性ホルモンレセプターの遺伝子は性染色体のX染色体にあります。



女性がXX、男性がXYというやつですね。



そうです。男性(XY)は一つだけ持っているX染色体を必ず母親(XX)から受け継ぐことになります。なぜなら、父親からはY染色体を受け継がねばならないからです。



お母さんは女性なので、薄毛の状態がわかりにくいな。



お母様のお父さんやお爺さんを見ればいいんです。母方の祖父がAGAの場合で約75%、母方の祖父と曽祖父ともにAGAの場合で約90%と言われています。



やばいです。若いころの写真みたらどちらも若ハゲでした。


AGA家系の男性は軟毛を見つけ早期治療に備えよう



父はAGA治療をしていますし、母のお父さんとお爺さんは若ハゲなので、そうとうやばいと感じています。



AGAが始まる前にリスクに気が付けたわけですので、前向きにとらえて、AGAを早期発見して、適切な早期の段階で治療が始められるように備えましょう。



何歳で始まるかわからないのが不安です。



びくびくと気に病んでばかりいても時間の無駄ですし、定期的にAGAクリニックにかかるのは非現実的です。
1つだけ習慣化してほしいことがあります。朝起きたときの枕の毛やシャンプーの時に抜けた毛に軟毛が含まれているか観察してください。



軟毛は、AGAの男性の毛髪がたどる運命でしたね?



はい。AGAは単なる脱毛症ではなく、毛髪が軟毛に変わってしまう病気です。軟毛の詳細は、下のブログを参考にしてください。



見たくない抜け毛ですが、その観察が増毛くんを助けますよ。




この記事のまとめ


AGAは約80%で遺伝する体質と考えられています。父方からも母方からも遺伝します。母親の薄毛はわかりにくいため、母方の祖父や曾祖父が若ハゲかどうかに着目しましょう。
母方から受け継ぐAGA遺伝子は、男性ホルモンレセプターです。その他にも複数の遺伝子が関与していると考えられています。
AGA家系であることがわかったら、抜け毛に軟毛が混じっていないか注意して、AGAの始まりを見逃さないようにしましょう。
