増毛茂生くんミノキシジルには外用薬と内服薬がありますが、どちらがおすすめでしょうか?



ミノキシジルは、うまく使えば効果は抜群です。
しかし、外用薬と内服薬の選択があり、外用薬が効きにくい男性がいたり、内服薬には強い副作用のリスクがありと一筋縄ではいきません。
今日はミノキシジルの外用薬と内服薬のメリット・デメリットをお伝えし、どのように考えて選択すればよいかをまとめてみましょう。
ミノ外用薬のメリット



まず、ミノキシジル外用薬のメリットとデメリットを教えてください。



メリットは、なんといっても全身の副作用がほとんどないことです。



それは安心ですね。



日本皮膚科学会が「使用を強く勧める」と推奨しています。これは、効果があることと安全性がきちんと検証されていることを意味します。



始めやすいです。
【ミノキシジル外用薬のメリット】
- 塗り薬であり全身への副作用がほとんどない
- 日本皮膚科学会から5%ミノキシジル外用薬が推奨度A(使用を強く勧める)とされており安心感が高い
ミノ外用薬のデメリット



では、ミノ外用薬のデメリットは何がありますか?



主に2つのデメリットがあります。
【ミノキシジル外用薬のデメリット】
- 頭皮トラブル
- 効果のない男性もいる
ミノ外用薬は頭皮トラブルで継続できないことも



まず、ミノキシジル外用薬で一番多い副作用は頭皮のトラブルです。



どんなトラブルですか?



いちばん多いのは、「かゆみ」で4%くらいです。他にも1%前後と頻度は低いですが、発心、紅斑、接触性皮膚炎などがあります。
【ミノ外用薬の副作用】
〖全体〗
副作用が起こる割合:
約8.82%(378/3072例)
〖内訳〗
- 頭皮のかゆみ:4%(123/3072例)
- 頭皮の発疹:1.4%(43/3072例)
- 頭皮の紅斑:1.01%(31/3072例)
- 頭皮の枇糠疹:1.07%(33/3072例)
- 頭皮の接触性皮膚炎:1.04%(32/3072例)



頭皮トラブルがでたらどうしたらいいですか?



いったん中止してトラブルの治療を行います。



治ったら再開できるのですか?



治っても、また同じ外用薬を使用すると同じ皮膚トラブルに見舞われる可能性が高いため、再開できません。



別の製品を試すのは意味があります。主成分以外の溶媒がトラブルの原因になることもあり、製品が違うと溶媒の成分が異なり、トラブルが出ない可能性もあるからです。



僕、アレルギー体質なので心配です。



もともとアレルギー体質の方は、どの製品を使ってもトラブルが出てしまうということもあるでしょう。



どれを使ってもダメならどうすればよいですか?



その場合は、ミノキシジルの内服薬に変更することを検討することになります。


ミノ外用薬は効果のない男性もいる



ミノ外用薬が効かないこともあるって本当ですか?



残念ながら、本当のことです。ミノ外用薬が効きにくい体質の男性がいるのです。



どういう男性に効きにくいのですか?



少し専門的な話になりますが、頭皮に「硫酸転移酵素」が少ない男性は効きにくいのです。



硫酸転移酵素? 難しい言葉ですね。何をする酵素ですか?



実は、ミノキシジルそのものには発毛効果はなく、硫酸転移酵素によってミノキシジル硫酸抱合体に変換されて発毛効果が発揮されます。



この硫酸転移酵素の毛包における量は個人差が大きく、量が少ない男性は頭皮に塗布するだけでは効果が出にくいのです。



その場合はどうすればよいのですか?



外用は効果が無いと決めつけずに、濃度を上げてみるというのが次の選択です。ミノキシジル外用薬は、濃度が濃い方が効果があるからです。



ドラッグストアでは1%と5%が購入できますね。



AGAクリニックでは8%のものを提供しているところもあります。



8%を用いても効果が無い場合は、どうしたらいいですか?



次の選択はミノキシジル内服薬です。内服した場合は、ミノキシジルは必ずミノキシジル硫酸抱合体に変換されますので、ほとんどの男性に効果があります。


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ミノキシジル外用薬のメリットは、全身への副作用がほとんどないことと、効果と安全性の検証がなされているため日本皮膚科学会が勧めているため安心して使えることです。
デメリットは、頭皮トラブルで使用できなくなることがあることと、一部の男性には効きにくいことです。
ミノ内服薬のメリット



次は、ミノ内服薬のメリットを教えてください。



ミノ内服薬は効果に関しては以下のようにミノ外用薬に比べて複数のメリットが期待されています。
【ミノキシジル内服薬のメリット】
- 外用薬よりも効果が高い
- 外用薬が効きにくい体質の男性にも効果がある(ほとんどのAGA男性に効果がある)
- 外用薬で頭皮トラブルが出た場合の代替使用ができる



万能という感じですね。



はい。効果は用量依存性があり、②の全員が効果を認めるというのは2.5mg~5mgの用量の場合です。2つの報告が示しています。



はい。ただ、日本皮膚科学会はミノ内服を推奨度Dとし「使わないことを推奨」しています。



それはなぜですか?



そのままの言葉を借りると、2017年時点では「利益と
危険性が十分に検証されていないため」とあります。



権威ある学会からそう言われると使用をためらいますね。



わかります。ただ、実際は、近年米国の皮膚科医の間で、低濃度のミノキシジル内服薬をAGA患者に使用する皮膚科医は増えていることが、ニューヨークタイムズに取り上げられました※。



日本はどうですか?



ミノキシジル内服薬を使用するAGAクリニックや皮膚科医は増えていますが、使用しないクリニックもあります。



なぜ分かれているのでしょうか?



使用する先生は、やはり効果が高いことを実感されているからだと思います。一方、使用されない先生は、今からお話しする循環器系の副作用の懸念が一番の理由と思います。
ミノ内服薬のデメリット



気になるミノ内服薬のデメリットを教えてください。



ひとことで言うと、次の2つの副作用が問題です。
【ミノキシジル内服薬の主な副作用】
- 多毛症
- 循環器系症状



最近は、体毛を気にする男性が増え脱毛クリニックが流行っていますので、多毛症は気になる副作用ですね。



多毛症が一番多い副作用です。ある研究では15.1%の方に出たそうです。



もともと高血圧薬として開発され、多毛症の副作用が多かったことから発毛薬に転用されたわけですから、当然と言えば当然の副作用です。



頭髪は発毛治療して、体毛は脱毛治療してという忙しい男性もいそうですね。



(笑)



ふたつ目の循環器症状ってどういうものですか?



具体的には、動悸、たちくらみ、息切れ、むくみなどです。



生活や仕事に支障が出ますね。



はい。元が高血圧薬で、血管拡張作用により血圧を下げる成分ですので、それに伴う副作用なんですね。



こういう症状が出たら続けられないですね。



その通りなんです。医師でありながらたいへん恥ずかしい話ですが、高用量ミノキシジル内服で強い副作用を経験したお話をします。
【黒髪先生の体験談】
数年間、ミノキシジル内服5mgを毎日内服して、抜群の効果を実感していましたが、知人が10mgを使用して効果を出していましたので、欲が出て10mgに増やしました。
頭髪が太くなるのを実感しましあが、気が付くと、まぶたや足首がむくみ始め、地下鉄の階段で動悸、立ち眩み、息切れが出現しました。ひどいときは階段を上がりきると、数秒動けないくらいでした。
今は、用量を下げ副作用は自覚しなくなりましたが、ミノキシジル内服の負の面を身をもって体験しました。



お医者さんも人間ですね。



お恥ずかしい💦



ミノ内服はメリットが大きい反面、日本皮膚科学会から推奨されていなかったり、全身の副作用の心配があったりと、使用がためらわれますね。



次の最後のセクションでは米国の最新のデータを紹介してミノ内服とどう向かい合えばよいか考えてみましょう。


ミノ内服をどう使いこなすか?



さきほど、米国の皮膚科医の間で低用量のミノキシジル内服が広がっていることが話題になった話をしました。



その結果だと思いますが、2021年以降、臨床データが報告され始めていますので、参考になります。



どんな報告でしょうか?



主に2つの報告を紹介します。後で解説しますね。
ミノキシジル内服の安全性に対する多施設研究の報告
(2021年アメリカ皮膚科学会誌)
【対象】
平均年齢43歳(8〜86歳)
合計1404人の患者
(女性943名、男性461人)
【研究方法】
多施設後ろ向き研究
【結果】
- ミノキシジルの平均用量:1.63 mg (範囲 0.03-15)
- 平均使用期間:7.9カ月 (範囲 3カ月-79カ月).
- 副作用出現率(トータル):20.6%
- 副作用のため使用中止になった患者:43人 (1.7%)
- 最も頻度の高い副作用は多毛症(15.1%)で、うち14人の患者(0.5%)が治療を中止した
- 全身性の副作用を135人(5.5%)に認めた
- 内訳:たちくらみ(1.7%)、むくみ(1.3%)、頻脈(0.9%)、頭痛(0.4%)、眼窩周囲浮腫(0.3%)、不眠症(0.2%)
- 離脱率:29人(1.2%)の患者が治療を中止した
- 内訳:たちくらみ(1.7%)、むくみ(1.3%)、頻脈(0.9%)、頭痛(0.4%)、眼窩周囲浮腫(0.3%)、不眠症(0.2%)
- 生命を脅かす副作用は認めなかった
Vañó-Galván S, et al. Am Acad Dermatol. 2021 Jun;84(6):1644-1651.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33639244/
ミノキシジル内服の効果と安全性に関するレビュー論文
(2021年アメリカ皮膚科学会誌)
【研究方法】
多施設後ろ向き研究17本の論文における計634人の患者をレビューした
【結果】
[効果]
男性AGAでの効果は用量依存性がある:ミノキシジル5㎎で全員改善を認めたが、0.25mgでは40%-60%に維持または改善を認めた
[副作用]
- 最も頻度の高い副作用は多毛症(約20%)であったが、治療を中止した患者はいなかった
- 多毛症は用量依存性があった:5mgでは半数以上の患者に出たが、0.25mgでは10%以下であった
- 全身性の副作用:心血管系の副作用は稀で、軽度であった。
- たちくらみ(2%)、むくみ(3%、5mg内服者がほとんど)
- 生命を脅かす副作用は認めなかった
Randolph M, Tosti A. J Am Acad Dermatol. 2021 Mar;84(3):737-746.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32622136/



どちらの論文もよく似た結果で、要約すると次のようになります。
- 多毛症が一番多い副作用だが、内服を止めた人は少なかった
- 循環器系の副作用は20人に1人くらいの頻度であったが生命を脅かすものではなかった
- 用量が高いほど効果もあるが、副作用も出やすい傾向が見られた



これなら、使えそうですね。



循環器系の副作用の頻度が思ったより少なく、安全に使えると思います。ただし、次の3つのことを頭に入れて使う必要があります。
1.使用期間が平均約8カ月などと短く、長期使用の情報が乏しい
2.用量が高いほど効果が高いが、循環器系の副作用のリスクも高まる
3.基礎疾患がある男性での低用量ミノ内服の情報が乏しい



まだ、安心しきれる状態ではないのですね。



日本皮膚科学会の2017年のガイドラインが出た時よりは、臨床情報が増えてきていますが、まだまだですね。



やはり、医師と相談しながら使うべきですね。



はい。ここでとても大切なことがあります。AGA治療は長期になるため、年齢による身体の変化も考慮する必要があることです。



身体の変化って、どういうことですか?



例えば血圧です。高血圧だけを見てみても、20代では5.4%ですが、30代で17.6%, 40代で39.2%, 50代で59.0%, 60代で72.3%と年代ごとに急増していきます。ミノキシジル内服は高血圧の薬ですから、高血圧があると副作用のリスクが変化します。



AGA治療は生涯続くマラソン治療であり、医師の伴走のもと安全に続けていきたいです。
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ミノキシジル内服薬のメリットは、外用薬よりも効果が高いこと、ミノ外用薬が効きにくい体質の男性にも効果があること、外用薬で頭皮トラブルが出た場合に代わりに使えることです。
デメリットは、米国の報告では、約15%の男性に多毛症が起きることとと、20人に1人の男性に動悸、たちくらみ、息切れ、むくみなどの循環器系副作用が出ることです。
用量が高いほど副作用発現率は高くなる傾向があります。
ミノキシジル、外用か?内服か?



詳しく教えていただきましたが、外用か内服か迷います。



そうですね。効果が無ければ意味がないわけですから、逆に言うと効果があれば、安全性を優先すればよいと思います。



つまり、まず5%ミノ外用薬を試して、効果があれば外用を継続し、効果が無ければ内服を試す、ということでしょうか?



その通りです。特に、薄毛がまだ強くない場合は、そのやり方がベストと思います。



あるいは、内服薬を1.25~2.5mgくらいの低用量で始めるのが良いと思います。



薄毛がかなり進んでいる男性はどうでしょうか?



最大効果を狙って、内服薬5mgもありだと思います。



医師と相談して決めて、経過を見ながら調整していく必要がありそうですね。



はい
この記事のまとめ


ミノキシジル外用薬は、安全性が高いため薄毛が強くないAGA男性がまず最初に使うのに適しています。ただし、頭皮トラブルによる中断の可能性があることと、効果が出ない体質の男性がいることを念頭に置く必要があります。
ミノキシジル内服薬は、2.5mgまたは5mgであれば、ほとんどすべての男性に効果があり、外用薬より高い効果があります。薄毛がかなり進んでいる男性が選択しても良い治療と思います。ただし、多毛症と循環器系の副作用に留意する必要があります。特に、効果が高い5mgで一部の男性にこれらの副作用が出るリスクがあります。








