増毛茂生くん家系に薄毛の男性が多くAGA治療を覚悟していますが、一生使う薬なので副作用が不安です。



増毛くんの言うように、一生使うからこそ、副作用を十分に理解していることが大切です。
AGA薬は、もともと前立腺肥大や高血圧の治療薬として開発されたものであることはご存じと思います。ことため当然ですが頭髪以外にも作用があります。
ここでは、AGA治療の副作用のすべてを優先順位をつけて理解して、漠然とした不安を解消しましょう。
副作用の全体像をつかむ



副作用の話は難しく感じて頭に入りにくいです。



まず、以下のように、おおまかな全体像をつかむと理解しやすいと思います。
【AGA治療薬の主な副作用】
- フィナステリド ➡ 性機能障害
- デュタステリド ➡ 性機能障害
- ミノキシジル外用薬 ➡ 頭皮トラブル
- ミノキシジル内服薬 ➡ 多毛症と循環器系副作用



少しすっきりしました。けっこう気になる副作用が並んでいますね。



どんな薬にも副作用はあります。頻度や程度がポイントになります。
「フィナステリド<デュタステリド」で性機能障害





やはり、30歳前の男として、フィナステリドとデュタステリドの性機能障害は、めちゃ気になります。



高活性型男性ホルモンであるDHTだけを抑えるAGA薬で、性機能に重要なテストステロン自体が減るわけではないのですが、なぜか増えるようです。





性機能障害って具体的にはどうなるのですか?



具体的には、「勃起不全」、「性欲減退」、「精液量減少」、「射精障害」です。気になるのは、お薬を中断しても続いたとの報告があることです。



うわっ、男としてはそれは困ります。



はい。でも、起きる頻度も大事な情報です。フィナステリドでは、ほとんど起きないと言える程度ですが、デュタステリドでは、長期使用でフィナステリドより一桁多く起き、10人に1人くらい起きるというイメージです。



参考までに、正確なデータをお示ししておきますね。
【フィナステリドとデュタステリドの副作用頻度】
プロペシア(フィナステリド)
〈短期投与(6か月時点) 〉
「リビドー減退」1.1%(3/276例)
「勃起不全」0.7%(2/276例)
「精液量減少」0.4%(2/276例)
〈長期投与(2年9カ月)〉
「リビドー減退」0.21%(2/943例)
「勃起不全」0.11%(2/943例)
ザガーロ(デュタステリド)
〈短期投与(6か月時点) 〉
「リビドー減退」3.9%(22/557例)
「勃起不全」4.3%(24/557例)
「精液量減少」1.3%(7/557例)
〈長期投与(4年4カ月時点) 〉
「リビドー減退」8.3%(10/120例)
「勃起不全」10.8%(13/120例)
「射精障害」4.2%(5/120例)



ザガーロの「勃起不全」10.8%は、けっこう気になります。



ただし、同時に行われた比較試験ではないので、正確な比較にはなっていません。



前立腺肥大の治療としてのフィナステリドの治験では、性機能障害の副作用に関する説明を受けた男性は、受けていない男性より性機能障害が多く報告されたことから、心理的な「ノシーボ効果*」も指摘されています。



確かに勃起は心理的な影響が大きいと思います。



その通りですね。副作用を気にしすぎると、勃起しにくくなることはありえると思います。



実際、偽薬でもデュタステリドに比べ約半数の男性に性機能障害が出ています。一つは、ノシーボ効果であることが考えられます。



あと一つは、デュタステリドの長期投与は4年4カ月に及んでいますので、経年により自然な性機能障害がでてきた可能性もあります。



性機能障害は一筋縄ではいかないですね。



はい。本当のところは、まだわからないことが多いのです。
【フィナステリドとデュタステリドの性機能障害に関する疑問】
- DHTだけを抑制して、性機能で重要なテストステロンは減少しないのに、なぜ性機能障害が出るのか?
- 偽薬にも性機能障害が出ているので、データが示すほど副作用は多くない可能性あるのではないか?
- お薬を止めても性機能障害がもどらない男性がいるのはなぜか?



フィンまたはデュタで性機能障害が出た場合、お薬を止めると性機能障害は治りますか?



いろいろな報告がありますが、結論はでていません。参考にはなりますので紹介しますと、元に戻るのに平均5.4カ月かかったとか、約半数の男性は元に戻ったなどと報告されています。



戻るにしても時間がかかるのですね。



時間がかかった原因として、いったん勃起障害が起きると自信を失い回復に時間がかかるなど心理的要因が無視できません。パートナーとの関係が悪くなると、いっそう影響します。



お薬を止めて元に戻った男性は、副作用で性機能障害になっていたと言えますね。



そう言えると思います。そして、戻らなかった男性は、経年による自然な性機能障害が出ていた可能性もあるでしょう。



う~ん、複雑で真実は藪の中ですね。



まだ、わからないことが多いですが、性機能障害は起きればパートナーにも影響しますので、始めるときに、きちんと次のことは説明しておいた方が良いでしょう。
【パートナーに伝えておくべきこと】
- 頻度は低いけど性機能に影響が出る場合があること。
- 万が一、性機能に影響が出てお薬を止めた場合でも、すぐには元にもどらないこと。



う~ん、理解してもらえるか心配。





フィナステリド内服とデュタステリド内服は、発毛効果と安全性に関して高い水準の根拠がありますので、日本皮膚科学会が薄毛治療の治療として推奨度A(行うよう強く勧める)と認定しています。



じゃあ、どちらを選んでも安心ですね。



その通りです。年齢、薄毛の程度、求める効果のスピード感、パートナーの有無などを考慮して、それぞれの男性が好む方を選んでいただければと思います。
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フィナステリドとデュタステリドの主な副作用は、勃起不全などの性機能障害です。しかし、頻度は高くはありません。長期使用ではデュタステリドの方がフィナステリドより性機能障害が多い傾向があります。パートナーがいる方は、開始前に伝えておきましょう。
ミノキシジル外用は頭皮トラブル





ミノキシジル外用薬の頭皮トラブルとは、どんなトラブルでしょうか?



外用薬を塗った頭皮のかゆみや発疹などの皮膚トラブルで、市販後調査では6.25%の男性にでました。なかでも多いのは頭皮のかゆみで4%です。



そんなに多くなくてホッとしました。これなら使えます。頭皮トラブルがでたらどうすればよいのですか?



やはり、毎日つけるものなので、トラブルが出るといったん休止せざるをえません。



治ってから、別のメーカーの製品を試すのは意味があります。主成分以外の基剤がトラブルの原因になることもあり、製品が違うと基剤の成分が異なっていてトラブルが出ない可能性もあるからです。



僕はアレルギー体質なので心配です。



もともとアレルギー体質の方は、どの製品を使ってもトラブルが出てしまう可能性があります。



その場合はどうすればよいのですか?



その場合は、ミノキシジルの内服薬に変更することを検討することになります。



外用薬の皮膚トラブルの正確なデータをお示しして起きますね。
【ミノキシジル外用薬の副作用】
全3072症例(6ヵ月以上の使用例2,006例、1年以上の使用例1,544例)
副作用が起こる全体の割合
約8.82%(378/3072例)
適用部位頭皮の副作用 6.25%
(192例/3072例)
[内訳]
かゆみ:4.00%(123例/3072例)
発疹:1.4%(43例/3072例)
紅斑:1.01%(31/3072例
皮膚および皮下組織障害
頭皮の枇糠疹:1.07%(33/3072例)
接触性皮膚炎:1.04%(32/3072例)



ミノキシジルの内服薬は、循環器系副作用とされていますが、外用薬は大丈夫なのでしょうか?



前述の市販後調査では、循環器への影響に関係しそうな副作用が報告されていますが、どれもレアでしたので、あまり気にする必要はないと思います。



正確なデータをお示ししておきますね。
【ミノキシジル外用薬の循環器系副作用】
「浮動性めまい」6件(0.20%)
「体位性めまい」1件(0.033%)
「頭痛」10件(0.33%)
「動悸」6件(0.20%)
「心拍数増加」3件(0.10%)
「胸痛」1件(0.033%)



また、5%ミノキシジル外用は、発毛効果に関して高い水準の根拠がありますので、日本皮膚科学会が男性型脱毛症の治療として推奨度A(行うよう強く勧める)と認定しています。
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ミノキシジル外用薬の主な副作用は、頭皮トラブルです。頻度は6.25%です。全身への副作用は稀で安全性の高い治療薬です。頭皮トラブルが出た場合の選択肢は、別メーカーのものを試すか、内服薬に切り替えるかです。
ミノキシジル内服は多毛症と循環器系副作用



ミノキシジル内服では、多毛症と循環器系の副作用が問題になります。
ミノ内服による多毛症





まず、多毛症ですが、どれくらいの人に出ますか?



後で紹介する2つの論文では、15%~20%程度と報告されています。



意外と少ないですね。



用量依存性があり、用量が多いほど多毛症になりやすくなります。5mgだと半数以上の男性に多毛症がみられたそうです。



じゃあ、覚悟はした方がよさそうですね。



米国のデータですが、多毛症を理由に治療を中断した人は少なかったようです。



程度によるのかな?ひどければ医療脱毛という方法もありますね。



はい。困っても解決法がありますので、深刻な副作用ではないと思います。
ミノ内服による循環器系の副作用





さて、循環器系の副作用は注意が必要です。



具体的にはどんな症状になるのでしょうか?



動悸、息切れ、むくみ、たちくらみ、胸痛などです。



生活や仕事に支障をきたす副作用ですね。



その通りです。



お恥ずかしながら私の痛い目にあった経験をお話しします。
ミノキシジル5mgを毎日内服して抜群の発毛効果を実感していました。知人が10mgを使用していましたので、欲が出て10mgに増量したんです。
髪のボリュームが増える効果を実感しましたが、まぶたや足首がむくみ始め、地下鉄の階段で動悸、立ち眩み、息切れが始まりました。
今は、用量を下げ副作用は自覚しなくなりましたが、ミノキシジル内服の負の面を身をもって体験しました。



先生も人間ですね。



お恥ずかしい💦



他の男性も同じことが起きるのでしょうか?



個人差や年齢による差があると思いますが、高用量を用いれば可能性はあります。



しかし、国内のちゃんとしたデータ報告が残念ながら無いのです。世界を見ても、健康な男性の治験データは存在しません。



なぜ、健康な男性の治験データが無いのですか?



ミノキシジル内服薬はAGA薬としては治験が行われていないからです。



ミノキシジル内服は効果が高いと聞きますが、副作用の治験データが無いのは困りますね。



ミノキシジル内服薬LONITEN ®は、難治性の高血圧症の治療薬として米国のFDA(Food and Drug Administration)の認可を受けています。
LONITEN ®の添付文書中には、頻度の記載はありませんが、次のような副作用が挙げられています。あくまで参考としてみてみましょう。
【難治性高血圧患者におけるミノキシジル5mg~20mgの副作用】
頻度記載なし
dizzy(めまい)
get puffy(むくむ)
wheezy(ぜーぜーする)
breathless (息切れ)
tired(疲労感)
pains in your chest(胸痛)
10人に1人以上
Increased heart rate(頻脈)
abnormal electrocardiogram(心電図異常)
inflammation of the lining that surrounds the heart(心膜炎)



これは難治性の高血圧患者を対象にした調査結果です。使用用量も5mgを最低として10mg, 20mgと高用量を使用しています。このため、そのまま健康な男性に当てはめることはできません。
ミノ内服の循環器系副作用とどう向かい合うか?





抜群の効果があるのに、副作用が怖いというミノキシジル内服、どう使うのがよいのでしょうか?



まだ、確立した方法はありませんが、おぼろげながら見えてきています。



知りたいです。



はい。まず、日本皮膚科学会の現時点の見解ですが、2017年の診療ガイドラインでは、ミノキシジル内服は利益と危険性が十分に検証されていないため、使わないよう強く勧められるとしています。



学会がそう言うと怖くなりますね。なぜ十分検証されないのですか?



お薬は製薬会社が世に出す時に必ず治験で効果と安全性を証明しなければなりません。



ミノキシジル内服薬は、AGA治療薬として世に出そうとする製薬会社がいないため、検証されないのです。



なぜ治験が行われないのですか?



イェール大学医学部の皮膚科医ブレット・キング氏の言葉です。
「ミノキシジルを内服しても、1日に数セントしかかからない。何千万ドルもかけて臨床試験で効果を確かめる経済的なメリットが(製薬会社には)ないということだ。つまり、そうした臨床試験が行われることは絶対にない」



じゃあ、いつまでたっても安心できるデータが出てこないのですか?



最近になって後ろ向き研究ではあるのですが、比較的しっかりした論文が2報でてきました。



これは、米国で低用量ミノキシジルをAGAの治療のために使用する皮膚科医が増えてきた現実があり、その成績をまとめた研究論文です。



どちらも権威ある学会誌に掲載されています。



さすが、アメリカですね。



詳細は後に掲載しますが、簡単にまとめると、ミノキシジル内服の一番多い副作用は多毛症で約15%の人に認められました。循環器系の副作用がでた男性は5%程度いたが、重いものはなかったとあります。



良かった!じゃあ、あまり心配せず使用できますね。



注意点があります。報告は5mg以下の低用量を中心とする結果です。10mg以上の高用量を使用したサンプル数は少なく、その場合の副作用ははっきりしません。



5mg以下を守れば大丈夫ですね。



論文をよく読むと効果も副作用も用量依存性があることがわかります。つまり、用量が高いほど効果も高いが、副作用のリスクも高まるということです。



副作用をみると、レビュー論文では3%くらいの男性に足のむくみが出ましたが、ほとんどが5mg使用者でした。



5mgで一部の男性に循環器系の副作用が出るリスクが出てくるということですか?



その可能性があります。



一方、効果で見ると5mgを用いると、ほぼすべての男性に効果があるという報告が2つ紹介されています。



どうやら、5mgあたりに、効果と安全性が両立するギリギリの用量があるようです。もちろん、個人差はありますが。



5mgを使用するのが良いのですか?



5mgを最高用量として考えましょう。体重が少なめの男性は2.5mgから始める方が良いかもしれません。



それと、10年を超えるような長期使用のデータは含まれていません。長期使用する場合は、身体も加齢による変化がありますので、身体のチェックを定期的に行いながら使用することが大切と思います。



わかりました。
ミノキシジル内服の安全性に対する多施設研究の報告
(2021年アメリカ皮膚科学会誌)
【対象】
平均年齢43歳(8〜86歳)、合計1404人の患者(女性943名、男性461人)
【研究方法】
多施設後ろ向き研究
【結果】
- ミノキシジルの平均用量:1.63 mg (範囲 0.03-15)
- 平均使用期間:7.9カ月 (範囲 3カ月-79カ月).
- 副作用出現率(トータル):20.6%
- 副作用のため使用中止になった患者:43人 (1.7%).
- 最も頻度の高い副作用は多毛症(15.1%)で、うち14人の患者(0.5%)が治療を中止した
- 全身性の副作用を135人(5.5%)に認めた
- 内訳:たちくらみ(1.7%)、むくみ(1.3%)、頻脈(0.9%)、頭痛(0.4%)、眼窩周囲浮腫(0.3%)、不眠症(0.2%)
- 離脱率:29人(1.2%)の患者が治療を中止した
- 生命を脅かす副作用は認めなかった
Safety of low-dose oral minoxidil for hair loss: A multicenter study of 1404 patients. Am Acad Dermatol. 2021 Jun;84(6):1644-1651.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33639244/
ミノキシジル内服の効果と安全性に関するレビュー論文
(2021年アメリカ皮膚科学会誌)
【研究方法】
多施設後ろ向き研究17本の論文における計634人の患者をレビューした
【結果】
[効果]
男性AGAでの効果は用量依存性がある:ミノキシジル5㎎で全員改善を認めたが、0.25mgでは40%-60%に維持または改善を認めた
[副作用]
- 最も頻度の高い副作用は多毛症(約20%)であったが、治療を中止した患者はいなかった
- 多毛症は用量依存性があった:5mgでは半数以上の患者に出たが、0.25mgでは10%以下であった
- 全身性の副作用:心血管系の副作用は稀で、軽度であった。
- たちくらみ(2%)、むくみ(3%、5mg内服者がほとんど)
Oral minoxidil treatment for hair loss: A review of efficacy and safety. J Am Acad Dermatol. 2021 Mar;84(3):737-746.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32622136/
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ミノキシジルの主な副作用は、多毛症と循環器系の副作用です。多毛症は治療を中断するほどではないことがほとんどです。循環器系の副作用は、5mg以下の低用量では重い副作用は報告されていませんが、むくみやたちくらみなど生活に支障がでる副作用が出る可能性がわずかにあり、その場合は用量調整が必要になります。
この記事のまとめ


フィナステリドとデュタステリドの主な副作用は性機能障害ですが、頻度は高くありません。フィナステリドは長期使用で10人に1人くらいでる可能性があり、パートナーに伝えておく必要があるでしょう。
ミノキシジル外用薬は、頭皮トラブルが約6%の男性にでます。その場合、治ってから他のメーカーのものを試すか、内服に切り替えます。
ミノキシジル内服薬の主な副作用は、多毛症と循環器系の副作用です。頻用される5mgだと半数以上の男性に多毛症が出ます。また、この5mgでは、循環器系の副作用が出る可能性があります。重い副作用ではありませんが、足のむくみやたちくらみなど生活に支障をきたしますので、用量調整が必要になります。

