増毛茂生くんフィナステリドは安全と聞きますが本当でしょうか?



安全性が高いお薬と言って間違いないでしょう。



でも、何年、何十年と飲み続けることになるので心配です。



了解しました。今日はフィナステリドの副作用のすべてをお伝えします。
フィナステリドは選択性が高い





なぜ安全性が高いのですか?



フィナステリドは、次のような高い選択性があり、テストステロン減少で見られるような男性の健康を脅かす全身の副作用はほとんどありません。
【フィナステリドの高い選択性】
- AGAの原因であるDHTだけを減らしてテストステロンは減らさない
- 毛包と前立腺に存在するDHTだけを減らす



テストステロンは男性の若々しさと健康に必要な男性ホルモンなので減るとまずいことがたくさん起きます。



テストステロンはAGAの原因ではないのですね?



はい。AGAの原因は、テストステロンの5倍の活性を持つDHTです。



血液中を流れるテストステロンは、頭皮毛包の5αリダクターゼⅡ型により、5倍活性が高いDHTに変換されます。



AGAで薄毛になった頭皮にはこの5αリダクターゼが増えていることがわかっています。



フィナステリドは、この5αリダクターゼを抑えてDHTだけを減らすということですか?



その通りです。



DHTが減っても体は大丈夫なのですか?



それが2つめの「毛包と前立腺に存在するDHTだけを減らす」に関係します。



実は、5αリダクターゼはⅠ型とⅡ型があり、AGAに関係するのはⅡ型です。



フィナステリドは、Ⅱ型だけ抑制します。



AGAに関係ないⅠ型は抑制しないということですね。



はい。Ⅱ型は頭髪をはじめ全身の毛の毛包に存在します。一方、Ⅰ型は全身の皮脂腺に存在します。



ちなみに、どちらのタイプも前立腺には存在します。



フィナステリドは、全身の皮脂分泌に影響しないということですね。



はい。適度な皮脂は皮膚の健康に必要です。




フィナステリドの主な副作用は?



では、どんな副作用に注意すればいいですか?



主に次の3つです。
【フィナステリドの主な副作用】
- 性機能低下
- 肝機能障害
- 抑うつ(自殺傾向)
性機能障害





僕はまだ若いので、性機能障害が気になります。



40代後半の私も、性機能低下は困ります。



具体的にはどんな障害ですか?



勃起機能障害(ED)、性欲減退、精液減少、射精障害などです。



どれも起きたら困りますね。



はい。でも、心配いりません。どれも発症率は極めて低いからです。



どれくらいの発症率ですか?



1000人に1人くらいです。きちんとしたデータを示しておきますね。
【フィナステリドの性機能低下】
短期投与(6か月時点)
「性欲減退」1.1%(3/276 例)
「勃起不全」0.7%(2/276 例)
「精液量減少」0.4%(2/276 例)
長期投与(2年9カ月)
「性欲減退」0.21%(2/943 例)
「勃起不全」0.11%(2/943 例)



思ったほど多くなくて安心しました。



万が一、EDになったら、お薬を止めれば元に戻りますか?



止めてもすぐ戻るわけではなく、戻るのに平均5.4か月くらいかかったという報告もあります。



ED薬を使うなど手はありますので、主治医と相談しましょう。
肝機能障害





ふたつめの肝機能障害も怖いイメージです。僕、お酒が好きですし。



多くの内服薬は肝臓で代謝されますので、どの薬も肝機能障害のリスクはあるのです。フィナステリドに限りません。



それくらいの方に起きるのでしょうか?



先発薬のプロペシア錠は、治験では肝機能障害は認めず、2年10カ月間の市販後調査では0.22%に何らかの肝機能障害が認められたと報告されています。



お酒は減らさないとだめですか?



医者でありながら休肝日のない私の言えたことではありませんが、お酒は飲みすぎなければ飲んでも大丈夫です。



良かった!



ただし、長期服用になるフィナステリド錠ですので、年齢による身体の変化の中で副作用が出る可能性は否定できません。



節目節目で採血検査をして確認するなどAGAクリニックによる長期的な管理は大切なことですね。
抑うつ(自殺傾向)





自殺とは穏やかではないですね。



米国でフィナステリド使用者に抑うつや自殺傾向が見られたとしてメディアが取り上げ、2012年には”Post-Finasteride Syndrome
Foundation”が設立されたくらいです。



でも、添付文書には抑うつは頻度不明で挙げられています。



よく見ていますね!「頻度不明」とは、海外の治験などから出ることが予測される副作用が、その治験では認められなかった場合に付ける専門用語です。



先ほどの、肝機能障害も頻度不明とされています。



じゃあ、あまり心配はいらないということですね。



知っておく程度でいいでしょう。



不思議なことに、最近の論文では、フィナステリドは45歳の比較的若い層で抑うつと関係があったが、デュタステリドは抑うつと関係しなかったという結果が報告されています。



どこが不思議なのですか?



同じくDHT産生を抑えるデュタステリドが抑うつと関係しなかったという結果だからです。デュタステリドの方がDHT抑制は強いことで知られています。



なるほど。



その理由としてフィナステリドは、メディアで騒がれすぎたせいで、暗示がかかって抑うつがでたのではないかと議論されています。



あるあるですね。



一方で、性機能障害の副作用が治らずに抑うつになったのではないかという議論もされています。だから、45歳以下の若い層だけが関係したというわけです。



わかります。僕がフィナステリドでEDになったら落ち込みます。彼女との仲が悪くなって、さらに落ち込むと思います。



ハハハ、—いや笑いごとではないですね。



それでも、より性機能障害が起きるとされるデュタステリドが抑うつと関係しなかったというのは矛盾します。



まだまだ、真実をあぶりだす十分なデータが無いのが現状です。
この記事のまとめ


フィナステリドは、安全性の高いお薬です。その理由として、
- DHTだけを減らしテストステロンは減らさない
- DHTは毛包のDHTは減らすが皮脂腺のDHTは減らさない
という高い選択性のおかげと思います。
話題となる副作用として、
- 性機能低下
- 肝機能障害
- 抑うつ(自殺傾向)
がありますが、どれも頻度が低いため頭の隅にとどめておくだけで良いと思います。

