増毛くんザガーロはプロペシアよりも効果が高いけど副作用も多いと聞きます。どちらが良いのか迷います。



ザガーロはプロペシアの弟分のAGA治療薬です。
ザガーロは治療効果でプロペシアに勝ると考えられています。
このため、プロペシアの効果に満足いかない男性や、かなり薄毛が進んだ男性にとっては、期待の薬です。
ただ、副作用もプロペシアより頻度が高いと報告されていて悩ましいところがあります。
ザガーロをどう使っていくかは、処方する医師にもよりますが、患者ご本人の状況や希望も大事です。
ザガーロを理解して自分に合った選択をしていきましょう。
ザガーロとデュタステリドの名称について



ザガーロとデュタステリドは同じですか?



ザガーロは先発品の商品名でカプセル内服薬です。
正式名称は、「ザガーロカプセル0.1mg」と「ザガーロカプセル0.5mg」があります。
ザガーロの有効成分がデュタステリドです。



ジェネリック(後発品)は有効成分の名称を付けるルールですので、「デュタステリドカプセル」となります。
これに、0.1mgまたは0.5mgの用量と会社名が付きます。



デュタステリドカプセルとあったら後発品なのですね。



はい
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ザガーロは先発品の名称で、デュタステリドはザガーロの有効成分の名称で後発品の名称にもなります。
気になるプロペシア(フィナステリド)との違い



プロペシアの弟なのですね。



はい。ザガーロはプロペシアより後に開発されたので弟と言えますね。



よく似た2つのお薬を比較するとき次の4つの視点が大切です。
- 作用点の違い
- 標的分子(DHT)抑制力の違い
- 治療効果の違い
- 副作用の違い



結局、効き目が大切なのですが、効き目の違いや副作用を理解するのに作用点や標的分子の抑制力も役に立ちます。



この3つの視点ごとに2つの薬を比べてみましょう。
作用点の違い



ともに前立腺肥大の治療薬として開発されたお薬で、AGAにも効くことがわかり応用されました。



前立腺肥大もAGAも、ジヒドロテストステロン(DHT)という活性型の男性ホルモンが犯人とされています。



プロペシアもザガーロもDHTの産生を抑える作用があります。



プロペシアとザガーロの作用は全く同じなのですか?



いえ、DHT産生を抑制するパターンに違いがあります。
詳しく見てみましょう。
【作用点の違い】
フィナステリド vs. デュタステリド
ローカルな組織には5αリダクターゼが存在し、血液中を流れるテストステロンをDHTに変換します。
DHTはテストステロンの5倍の活性があるためAGAや前立腺肥大の原因になります。
5αリダクターゼはⅠ型とⅡ型があり、表のように存在部位が異なります。
AGAに関係するのはⅡ型で前頭部や頭頂部に多く存在します。
フィナステリドはⅡ型を選択的に抑制するのに対して、デュタステリドはⅠ型とⅡ型をともに抑制します。





デュタステリドの方が効果が高いということは、5αリダクターゼのタイプⅠもAGAに関係するということですか?



その可能性が疑われています。
実際、タイプⅠも頭皮毛根の脂腺に存在します。



作用の強いデュタステリドの方が良い治療薬なのですか?



一概には言えません。



フィナステリドは、発毛に関係するDHTだけをピンポイントに抑えるため、発毛以外の機能に影響が少ないと考えられます。
つまり、副作用が少ないことにつながります。



お薬としては、この「選択性が高い」ということが意外と大事です。
病的異常だけをピンポイントに狙い撃ちして、他には当たらないというのは安心ですね。


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フィナステリドは5αリダクターゼのⅡ型だけを抑制する選択性が高い働きがあります。
デュタステリドはⅠ型もⅡ型も抑制する網羅的な働きがあります。
DHT抑制力の違い



DHT産生を抑える効果の違いはどうですか?



血液中のDHTに関しては、デュタステリドの方がDHT抑制力は強いのですが、データを紐解くと、毛包のDHTに関しては、はっきりしないのです。



どういうことですか?



詳しく見てみましょう。
【DHT抑制力の違い】
[血中のDHT値]
フィナステリド1mg -73%
デュタステリド0.5mg -91%
[血中半減期]
フィナステリド1mg 4.2時間
デュタステリド0.5mg 41.1時間
[頭皮のDHT値]
フィナステリド1mg -64%
デュタステリド0.5mg -52%



ⅠとⅡをどちらも抑えるデュタステリドの方が血液中のDHTを減らす効果が高いのは納得です。



血液中の半減期*がデュタステリドの方が約10倍高いこともDHTを減らす効果が高いことに貢献しています。



でも、肝心の頭皮では、むしろデュタステリドの方が若干効果が低いのは意外ですね。



別々の治験データなので、正確な比較はできませんが、血中DHTではデュタステリドの方が抑制効果が高く、頭皮では大きな差が無いように見えます。



うーん、頭がこんがらがってきました💦



ここまででわかったデュタステリドの作用の特徴を整理しましょう。
【デュタステリドの作用の特徴】
- 5αリダクターゼのⅠ型とⅡ型を抑制する
- 半減期が一桁長い



この2つの特徴のどちから、あるいはどちらもが、デュタステリドの強い治療効果や副作用に影響している可能性があります。


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デュタステリド0.5mgは、フィナステリド1mgよりも血中のDHTを抑える効果が高いです。
これはデュタステリドが5αリダクターゼのⅠ型とⅡ型をともに抑制することと、半減期が長いことがもたらしていると考えられます。
一方、同時に行われた研究ではないため、正確な比較はできませんが、デュタステリド0.5mgとフィナステリド1mgが頭皮毛包のDHTを減らす効果はほぼ同等の結果が報告されています。
治療効果の違い



やはり治療効果はデュタステリドに軍配が上がると考えてよいですか?



そうですね。少なくとも短期的にはデュタステリドの方が効果が高いと言えます。



フィナステリド1mgとデュタステリド0.5mgの効果を比較した国際臨床試験の結果をご紹介します。
後でポイントを説明しますね。
【国際共同第Ⅱ/Ⅲ相二重盲検比較試験】
[試験対象者]
917 人(アジア人が半数以上)
[測定期間]
12 週間及び24 週間
[測定方法]
頭頂部の直径 2.54 cm(1 インチ)の範囲で
①直径30μm以上の非軟毛の本数をカウント
②直径 30 μm 以上の非軟毛の直径を測定
[結果1]
頭頂部の直径 2.54 cm円内 に生えている毛髪の平均増減本数


[結果2]
頭頂部の直径 2.54 cm 円内における毛髪幅の平均変化量


Gubelin Harcha W, et al. J Am Acad Dermatol, 2014; 70: 489―498.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24411083/



6か月間の短期間ですが、毛髪数がデュタステリドの方がフィナステリドより約1.6倍多く増えたと示しています。
毛髪の太さも1.45倍勝っています。



デュタステリドの方がかなり勝っていると言えますね。



6か月という短期的にみるとデュタステリドの方が効果が早く表れると言えます。
ただし、長期の比較試験は行われていないので、長期的な優劣はわからないままなんです。
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治療開始後6か月の効果では、デュタステリド0.5mgはフィナステリド1mgよりも毛髪数で約1.6倍、毛髪の太さでは約1.45倍も勝っていました。
副作用の違い



デュタステリドの方がAGA治療効果が高いことがわかりましたが、全身のDHTを減らすとのことですから、男性の身体に影響が出そうで心配です。



「一利一害」のことわざ通り、お薬はメリットがあれば、その分デメリットもあることが多いです。



フィナステリドとデュタステリドの副作用は、ほとんどが、性機能障害です。治験や市販後使用調査のデータを比較すると、長期的にはデュタステリドの方が10倍前後頻度が高いことがわかります。



正確なデータをお示ししておきますね。
【副作用比較】
フィナステリド vs. デュタステリド
プロペシア(フィナステリド)
短期投与(6か月時点)
「リビドー減退」1.1%(3/276 例)
「勃起不全」0.7%(2/276 例)
「精液量減少」0.4%(2/276 例)
長期投与(2年9カ月)
「リビドー減退」0.21%(2/943 例)
「勃起不全」0.11%(2/943 例)
ザガーロ(デュタステリド)
短期投与(6か月時点)
「リビドー減退」3.9%(22/557例)
「勃起不全」4.3%(24/557例)
「精液量減少」1.3%(7/557例)
長期投与(4年4カ月時点)
「リビドー減退」8.3%(10/120例)
「勃起不全」10.8%(13/120例)
「射精障害」4.2%(5/120例)



ザガーロの「勃起不全」10.8%は、10人に1人に起きるということですので、けっこう気になります。



勃起障害はデュタステリドは4年4カ月で10人に1人と無視できない頻度で、フィナステリドは2年9カ月で1000人に1人ですからほとんど無視できます。



こんなに頻度に差があるのですね。これなら、僕は、断然フィナステリドです。



気持ちはよくわかります。



ここで、データの解釈で注意すべきことがあります。長期の臨床研究では、偽薬、すなわち、フィナステリドとデュタステリドの成分を含まないグループにも性機能障害が出たことです。



どういうことですか?



つまり、長い歳月の間には、自然と性機能障害が出てくる男性もいるということです。



副作用か自然な変化か区別がつかないですね。



それでも、デュタステリド群の方が偽薬群より頻度が2倍高かったため、副作用があるのは間違いありません。ただ、数字ほど高くない可能性があるということです。



なるほど。でも、少しでも性機能の副作用が低い方がいいな。



ただし、フィナステリドとデュタステリドはともに日本皮膚科学会から、推奨度Aで「内服療法を行うよう強く勧める」と評価されています。



安心しました。



効果と安全性が十分に検証されていているからですね。



ただし、デュタステリドに関しては、医師が処方するにあたって「性機能障害を含めた副作用についても十分な説明と同意が必要である」と記載されています。



う~ん、そういわれると不安が残りますね。



いずれにせよ、増毛くん、始める前には、彼女にちゃんと説明して安心してもらってくださいね。
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フィナステリドとデュタステリドの主な副作用は性機能障害です。基本的にどちらも頻度は高くありませんが、デュタステリドの方がフィナステリドよりも性機能障害が出やすい傾向があることは念頭に置きましょう。
「選択性が高いフィナステリド」、「パワーのデュタステリド」





ここまでをまとめると、選択性が高いフィナステリドか、パワーのデュタステリドの2択ということでしょうか?



言い得て妙と思います。



では、増毛くんなら、治療を始めるときどちらを選びますか?



う~ん、悩ましいですね。



僕は薄毛には敏感になっているので、きっと早めにAGAに気が付いて初期の段階で治療を開始できると思います。



そう考えると、フィナステリドから始めるのがいいかなと思います。やっぱり、今の僕には勃起不全は嫌ですから。



薄毛が軽度ならフィナステリドから始めるのは、よい戦略と思いますよ。



効き目が足りなければ、その時デュタステリドに変更したり、ミノキシジルを併用したりと、打てる手はありますね。



薄毛がかなり進行している男性は、デュタステリドから始めるのもありだと思います。その場合は、ミノキシジルを併用することも多いです。



AGAの進み具合や治療効果の出具合で選択肢がいくつかあるのですね。AGAの主治医とよく相談して始めるのがよさそうですね。
この記事のまとめ


フィナステリドは、5αリダクターゼのⅡ型だけを抑制する高い選択性が特徴です。
一方、デュタステリドはⅠ型もⅡ型も抑制する網羅性が特徴です。
デュタステリドは6か月の短期であればフィナステリドよりも効果が高いことが示されています。
ただし、長期的な比較データはありません。
フィナステリドとデュタステリドは、ともに主な副作用は性機能障害ですが、頻度は高くありません。
長期使用した場合、デュタステリドはフィナステリドよりも性機能障害が起きやすい傾向があります。
薄毛の程度や状況に応じて選択していきましょう。








